違国日記の感想
最終巻が発売されてからどれくらい経ったのか。未だにその余韻に浸り、メンタル死んで会社をサボった日に1巻から読み返していた。4巻くらいまでの振り返りと最終巻の感想というか雑記。
1巻
ラストにこの文章を書き記したのがどのタイミングなのか明かされるわけだけど、やはり美しい文章だと思う。
あの日 あのひとは
群れをはぐれた狼のような目で
わたしの天涯孤独の運命を退けた
ここから始まりこれで終わるの最高だったな。
1話の2人にとってこの生活が「普通」になり始めた感じも先を知っているからこそ、読み返すとグッと来るし、好きな映画の冒頭のテンション感に似ていて心地良い。
マキオがアサを迎え入れるシーンはやっぱり良い。
ダイゴの「…きみさ、人生かわるね エポックだ」っていうセリフは、「エポック」っていうダイゴが昔同じことをマキオに言うシーンと重ねて泣ける。
2巻
アサが元の自分の部屋で片付けをしながら寝てしまって、その姿を見て切ない顔をするマキオのカット。すごい表現力だな。1枚の絵でセリフなしにキャラクターの心情を描写する圧倒的な説得力を感じた。
ダイゴが高校卒業時にマキオに宛てた手紙。それを受けて「生きてていいんだ」と思ったマキオ。うらやましかった。
3巻
この後もアサが度々発言する「さみしい」
それを素直に言えるアサは強いと思う。強いという表現が適切なのかはわからんけど。無意識的な自衛から来る発言なのかな。
あと笠町くんはえろい。
4巻
誰からも愛されたかったのはアサの母親自信だったのだろう。考えて考えた朝というな名前。憎んだ姉の想いを知りながら「朝」と呼ぶマキオはその度にモヤモヤした感情を抱いていた時期があったのかもしれない。
マキオが勧めていた映画「フライドグリーントマト」はそろそろ観たいな。
そんでやっぱり笠町くんはえろ。「おれはきみをおれに頼らせたいんだよ」っていうセリフはすごい沁みる。わかるぜ、笠町くん。
飛んで一気に最終巻
姉のアサに対する想いや愛情を日記から読み取っていたから(それが正しい解釈かは別として)、ただ「愛してる」という言葉では足りないと思ったのか、マキオの文章や言葉に対する強いプライドからなのかもしれないけど。
作者が詩でマキオのアサに対する特別な想いを表現し切ったのは、ちょびっとでも創作をしていた自分としては嫉妬を超えて絶望すら感じた。叶わないというか圧倒された。美しい詩だった。
アサの幼さの描き方や11巻かけて少しずつ変化し成長していく様を不自然な展開なくストーリーとして作者が描きたかったであろうテーマに沿って表現されていたのも、ただ一読者として拍手するしかなかった。
多分この先も自分にとっては大切な作品になるのだろう。